やあ、きみ。むこうで元気にしているかい? 親父と逢えたかい? わたしは、まあまあ元気でいるよ。
最近、一人暮らしをはじめてさ、ようやくコツをつかみはじめたところなんだ。
きみがいなくなっちゃってぽっかりあいた穴は、ねこの親子が癒してくれているよ。
きみがいないことにも慣れてしまったよ。さみしいけれど、ね。
でもあれだ、またこの日がきちゃったのかと思うと、しんみりしちゃうね。ま、親父に逢ったら、こっちはなんとかやってるって伝えといてくれよ。バナナとプリンを置いておいたので、食べてね。
毎年この日にきみにメッセージを書くのが恒例行事になっているけれど、なんというか言葉数が少なくなってしまうのは、言葉にできないくらいの思いがあるからだと思う。もう少し楽しいメッセージにしたいが、無理なんだな。
そういうわけで、クリスマスイブなので、もう少し楽しい話を書いてみるね。
もう長らくクリスマスとは無縁の生活をしているので、きみが生まれる前の話になる。きみが生まれる1年半くらい前かな。すいぶん昔の話だなあ。
わたしが小学3年に引っ越しをしたんだ。もともと住んでいた場所とそう遠くないのだが、小学校は転校することになった。
引っ越しをする前から日々喧嘩することが日課だったので、転校先の小学校でも毎日喧嘩をしていたなあ。いま考えると、阿呆みたいに喧嘩していた。喧嘩という手段によるコミニュケーションとでもいうのかな。相手が泣いたら喧嘩はおしまいという感じだった。本当に迷惑な転校生だよな。弱そうな同級生とかには手出しをしなかった。先生もずいぶん困っていた様子だったな。
冬休みの直後に田中君にクリスマスに家にこないか? と誘われた。田中君は小太りで弱そうだったので喧嘩をしたことがなかった。たぶん。一度くらいは泣かせたことがあったかもしれないが。
田中君の家はわたしが住んでいた場所から遠く、一度もその周辺にいったことがなかった。母親にイチゴのパックを手渡されて、田中君の家に行った。場所が分からないので、小学校の校庭が待ち合わせ場所。そこから田中君の家に行った。田中君の家は農家のようだったな。
そこでから揚げやらケーキやらみかんやら白菜のおしんこをごちそうになった。コタツの上に並んだごちそうに、白菜のおしんこが農家っぽくて緊張が解けたのをいまでも記憶している。
しばらく家の中で遊んで、それから外に出て遊んだ。すぐ近くに駄菓子屋があり、10円で遊べるパチンコゲームとかシーソーゲームなどをやり、持ってきたコマで遊んだりしたな。本当に楽しかったな。
これが記憶に残っている唯一のクリスマスの楽しかった思い出かな。それから2か月後くらにまた転校しちゃったから、いまは田中君との交流はない。たぶん忘れられているだろうな。というか唯一憶えているのが田中君で、先生の顔も名前も憶えていない。
2度目の引っ越から半年後くらいにきみが生まれたんだよ。たしか。
生まれて数か月後にきみに凄まじい試練があったんだよ。新聞に載ったくらいだからね。よく頑張ったと思うよ。また湿っぽい話になってきちゃったな。
わたしの今年のクリスマスは仕事だ。今朝のご飯は納豆。昼食も納豆。夕食はたぶん牛丼屋だと思う。本当に彩の無い生活だな。年始は久しぶりに友達と初日の出を見に行く予定。それ以外は実家に挨拶に行くくらいかな。
来年はもうちょっと彩のある生活をしたいと思うけど、良い変化の兆しはない様子。というか、落ちるところまで落ちる可能性があるな。頑張らんとな。
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