2008年9月19日金曜日

昨夜読み終えた本について。感想のようなもの。
「狙撃の理由」著者:ジョー・ゴアズ/訳者:藤本和子
主人公であるフレッチャーが、隠遁生活をしているミネソタの森で狙撃をされ、瀕死の重傷を負ってしまう出だしから始まる。
タイトルのとおり、狙撃の理由を謎として物語が進行する。終盤になるとその謎が明らかにされるのだが……何で? うむー、納得がいかない。というような感じでした。
例えるなら破れた宝の地図を頼りに苦難を乗り越えて、手にした宝箱を空けたら「はずれ」の紙切れ一枚だったような虚しさです。
むしろ宝箱を探すその過程が宝なのだ。というような感覚で読まないと痛手を負う気がします。


先日、紹介した本「人間狩り」について。
HPB一冊と文庫版三冊を所有しているのを無駄な重複と書いたが、HPB(1969)文庫(1976)文庫(1998,1999)ではあとがきが違っている。
三度に渡りあとがきを担当しているのは、小鷹信光氏です。興味深いのはHPB版(1969)。小鷹氏は、このシリーズが完結するとしたらとして、ある一節を予見している。
一般常識に照らせば、このような悪漢が活躍する小説は受け入れがたいのは頷けるし、ましてや自身で翻訳して出版されるのだから、なんとなく後ろめたい気持ちが働いて、“悪は最期に滅びる”というような予見を一節にしたのでしょう。
著者であるリチャード・スターク自身もこの一作で終わらせるつもりでいたことが、文庫版(1976)で明らかにされています。当初の結末は、パーカーが非業の最期を迎えていたようですが、編集者と出版社の要請によりパーカーの命は救われたのでした。
文庫版(1998,1999)の新装版ではこの予見については一切触れられていません。現時点では二十三作品(未訳は三作品)になるサーガですので安心して(喜んで)削ったのでしょう。

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