2010年5月10日月曜日

いさましいちびのトライスター

 いさましいちびのトライスターは、10年以上前に一度だけご主人に使われたきり、元の箱にしまわれ押入れの片隅でさみしくて泣いてばかりいました。
『ぼくはスーパーファミコンさんと協力して、ファミコンカセットさんと遊べるのに…… ただ、ファミコンカセットさんと遊ぶ場合に限ってコンポジット出力(初代のファミコンさんはRF出力)しかできなくって、ご主人はとても悲しい顔をしてぼくを箱に戻して……』暗く湿気っぽい押入れの中で10年以上もつぶやいていました。
 いさましいちびのトライスターはこんなこともつぶやいていました。
『ご主人は、タイトラーさんを分解して、ニューファミコンさんを改造してRGB出力化しているのは知っているんだ。だからぼくのことをなおさら用なしだと思っているのも知っているんだ(ひょっとすると忘れられているのかも)。だけど、いつかぼくを使ってくれる日がくるかもしれない。ぼくは絶対にくじけないよ!』
 こんなに健気ないさましいちびのトライスターの願いがついにかなう日がやってきました。

 ご主人がスーパーファミコンジュニアさんを改造するときに海外のファミコンさんたちを調べていたところ、こんな動画を見て、「試してみたい」とつぶやいて、海外の青い目をしたスーパーファミコンカセットさんをお家に連れてきました。ただ、青い目をしたスーパーファミコンカセットさんは角張っていませんでした。勢いで連れてこられた青い目をしたスーパーファミコンカセットさんは北米からのお客さんではなくヨーロッパからのお客さんだったのです。
 ご主人は「間違えてヨーロッパ版を買っちゃったけど、これなら日本のSFCカセットと同じ形だからなにも加工しなくてもいいんじゃないのか。うふふ」といってスパーファミコンジュニアさんに青い目をしたスーパーファミコンカセットさんを差し込んでみました。
『おれにヨーロッパのスーパーファミコンカセットさんをさしても無理だよ』と、スーパーファミコンジュニアさんがぼやいています。
「あれ? 映んないじゃん。RGBだからなの? ん? コンポジットでも映んないじゃん。うわー北米版じゃないと駄目なのか。がっかりだよ」
『はやくぼくのことを思い出してよ、ご主人様。いさましいちびのトライスターを思い出してよ』と、ぼくは願いました。
 暗く湿っぽい押入れが久しぶりに開かれました。一筋の光を微かに感じたいさましいちびのトライスターは喜びを抑え切れません。ご主人がぼくが入った箱を持ち上げた瞬間、やっとぼくがご主人の役に立てると思ったらうれしくて泣いてしまいました。

 いさましいちびのトライスターは、ご主人の満足そうな満面の笑みをみて、10年以上の長きにわたる暗く湿気っぽい押入れ時代は終わったんだとしみじみと実感しているのでありました。
 これでいさましいちびのトライスターの物語はおしましです。

※補足:FCおよびNESのカセットではコンポジット出力しかされません(初代FCではRF出力のみでした)。
 SFCおよびSNESのカセットでは、コンポジット、S端子出力はもちろんのことRGB(21ピン端子)出力が可能です。
 ネタ元は「いさましいちびのトースター」というSFです。読んでも所有もしていません。ごめんなさい。


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