著者:ジャック・リッチー
『ジャック・リッチーのあの手この手』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
『カーデュラ探偵社』(河出文庫)
『クライム・マシン』(河出文庫)
上記の3作品を読んでみた。HPB版の『ジャック・リッチーのあの手この手』を読んだら割りと面白かった。オチが弱い作品が多い気もするが、オチありきではない、力み過ぎない作品たちが割りと好感触なのです。そこで河出文庫の『カーデュラ探偵社』と『クライム・マシン』を入手して読みました。なかなかに味わい深い作品群でありました。匠の技を十二分に堪能させていただきました。
わたしの好きなドナルド・E・ウェストレイク氏もジャック・リッチー氏を絶賛していたようですし、ジャック・リッチー氏もウェストレイク氏の作品を好んでいたようです。それを解説で知り嬉しくもあり、悲しくもありました。悲しいのは匠のお二人がどちらも既に他界されているからです。ああ無常……
リッチー氏は掌編・短編を得意とした作家のようです。というか掌編・短編を生業としていたのかな。なので、アンソロジー的なもので以前にひょっとしたら1作くらいは読んでいたかもしれないなあ。
よく出来たお話は既視感があるものです。リッチー氏の作品群はまさに多々その感じを受けるのでした。
捻りのある掌編・短編の場合、クルンと思いもしない反転をします。そんな捻りの効いたお話に撃たれつつ、オチありきではない掌編・短編にリッチー氏の真骨頂を感じたりしています。良い作家に出会えて大満足です。
また読みたくなってきました。早速、短篇集『10ドルだって大金だ』を注文してみようかな。