2012年6月4日月曜日

不運と幸運は紙一重なの

アパートでの一人暮らしも半年を超えた。そこで、唐突に子供が出来てしまった。流行の“授かり婚”ではない。わたしは未婚である。そういうお相手は当然ながらいないのである。
 処女受胎とかのオカルトでもない。もちろん女性ですらないのでそれは無理。「あなたの子よ」と突きだされたというドラマでもない。
 随分もってまわったが(前振りって大事でしょ?)、仔猫を飼う決断をしたということなのである。決断という大仰なことでもないか。一緒に過ごしたいと思ったのだ。その経緯と紆余曲折をつらつらと書こうと思う。














 野良の母ネコとは3年の付き合いになるのは、このブログでもちょっとだけ触れているが、付き合いといっても餌を提供しているだけだが。この母ネコは子供をきちんと育てるのをこの3年確認しているのはお伝えしておく。ただし、この3年の付き合いで触れることはまったく不可能なこともお伝えしておく。
 で、この母ネコの仔とは仲良くさせてもらった。初代ネコくん、二代目ネコ次郎、三代目チビ(すべて仮称。実際には名は付けていない)。
三匹との付き合いで一番親しくしてくれたのは、ネコくん。だが、成猫になるころには声を掛けると返事をする程度になり、ついには消えてしまったのである(三年ぶりに無事を確認するが、完全な無視をされる)。
 二代目ネコ次郎とはそれほど親しくならなかったが、一番長く付き合った感じである。
 それで三代目チビは……触れることは一度もなく挨拶オンリーであった。いずれもわたしのスタンスは変わらないのだが、個々の性格により付き合い方が変化していった。

 ここから激動の数日間が始まるのである。先日のことである。チビの姿を2日ほど見かけなかった。猫にはよくある行動だと思っていたが……子供を産んでいて、それでいて育児放棄をしたのである。
 妙な高いピイピイ声がするのに気付いて気のせいかと思っていたが、嫌な予感がして職場の裏手を探したらネズミの死骸のようなのが数体泥まみれで散乱していた。これがピイピイ甲高い声を発していたのである。都合3匹である。目が開いていないし、これはどうにもしようがないなと思った。が、目の前の命を無視することは出来なく、急いで保護してお湯で体を洗いつつ冷えた体を温めて、猫用ミルクと哺乳瓶を買いに行き、一晩は一人で世話を頑張った。が、わたしには手に負いかねるのも事実である。
 一晩過ごして、一計を思いつく。3年付き合いのある母ネコに託す作戦。3匹を母ネコに見せると、ジッと仔猫達を観察している様子。……無理のようだ。そりゃあ無理だろうな。三匹は。ネコ飼いしていて子育て中の猫がいるお客様に委ねることになった。非常に幸運である。助かった。わたしが。
 育児放棄という言い方は違うかな。チビの事情もあるからな。交通事故に遭ってしまったとか……いろいろ考えられるし。とにかく育てる親が居ない仔猫を発見したということ。

 ところがである。3匹だけだと思ったら、もう1匹の仔猫を発見。ネズミのような小ささではなく、握りこぶし大で、ヨロヨロはしているが目がパッチリ開いていて、汚れている仔猫。同時期に生まれたのが疑わしいぐらい大きい(3匹と比較すると)。ただ、三代目チビに似ているな。再度、お客様に頼むのはもう無理だと思った。実家の母親に頼んでみたが、アッサリ無理だと断られた。「あんたが飼えばいいじゃない」と言われた。むむむ。
 仕方がないのでアパートに連れ帰り、体を洗い、ミルクを哺乳瓶で与えることに。目が開いているし、意志疎通は容易な感じがした。ミルクを与えつつ一緒に寝た。Tシャツをおしっこで三度交換した。翌朝はこのちびっ子が愛おしくなりました。ここで決断しました。こいつを飼うということを。































 わたしとちびっ子には共通点があります。それは、生みの親と育ての親がいるということです。わたしは長い年月を掛けてある思いに到達しました。それは、事情はどうあれ生んでくれてありがとう。育ててくれてありがとうという感謝の気持ちです。
 自分の境遇を不幸に思ったり、生まれてこなければよかったのにという気持ちがなかったわけではありませんでした。が、紆余曲折の末に“生んでくれてありがとう。育ててくれてありがとう”と思っています。
 生みの親に会うことはおそらく無いと思いますが、この気持ちは本当です。育ての親とはこの先も付き合っていきたいと思っています。面と向かって、育ててくれてありがとうとは言えないのですが、この気持ちに偽りはありません。

……それから一週間が過ぎ……朝、職場に行くと、ニャア、ニャアという鳴き声。ケージのちびっ子が鳴いているのではない……職場の裏手をのぞくと、ちびっ子と同じ大きさの仔猫3匹を発見。ちょっとドキッとしたが、母ネコの仔であろう……母ネコが現れて一安心。
……ちびっ子と同じ大きさ? ドキッ……ということは、ちびっ子は母ネコの仔ということになるのか。ひょっとして誤認アブダクション? ちびっ子も、母ネコの仔猫(3匹)も生後3~4週間前後(追記:生後2ヶ月くらいのよう)。チビが生んだ仔は引き取ってくれたお客様からおそらく生後2~3日ということだった。
 ということはどう考えてもちびっ子は母ネコの仔であり、チビの仔ではない様子。ひょっとするとチビが母ネコからはぐれたちびっ子を保護したか、アブダクションしたか。で、さらに自分の仔を生んで理由はどうあれ戻ってくることができない事情があるということだ。
 このちびっ子を再び母ネコに戻すというのは可能だろうか? それも検討したが、なんとなく無理なような気がする。うまくいく可能性も無きにしも非ずであろうが、拒絶されるおそれもあるし……親がコロコロ変わるのはちびっ子にとって良くないよな。ちびっ子を飼うのを改めて決意するのであった。























 問題はいろいろ山積している。第一に、給餌の問題。職場にケージを持ちもむのは問題ない。なにしろ一人だけで文句を言われることが無いから。仕事中はケージから解放することはできる環境にない。なので半日は我慢してもらうことになる。
 だけれどももう少し大きくなったら留守番をさせることになるな。これもおいおい対策を講じる必要があるな。一つ一つ問題をクリアしていくつもりでいる。








 3日ほど仕事中はケージの中で過ごしてもらったが、ストレスが掛るのは否めない。アパートで留守番してもらうことにした。3時間おきにアパートに帰って(車で約1分)様子をみつつミルクを与えるパターンに切り替えた。

 うんちをしない日が6日続いた。少し元気がない様子。困った。病院に行くしかないかと思った。ミルクも全然飲まないし……離乳食を試しに与えてみた。少し食べた。
 明日、病院に行こうと思って床について携帯でユーチューブを視聴していたら“パフュームのレーザービーム”という曲に行き当たった。視聴してみるとちびっ子が急に元気に動きまわりだした。そして、急に座り込んだ。これは、おしっこをする様子……慌てて猫用のトイレに移動。すると狂ったようにトイレ用の砂を掘り出して、用を足している様子。うんちが出た! うんちをしながらちびっ子が妙に鳴いた(ニ゙ャ゙ー、ビャービャー)。

スナトイレますぐだね♪
硬便はきっとレーザービーム♪
出口をシュワりと突き刺すの♪
茶色のレーザービーム♪

 便秘解消ソングが“パフュームのレーザービーム”って物凄く失礼ですね。ごめんなさい。それはさて置き、この曲(替え歌の方じゃないよ)なかなか良いよね。

 ちびっ子を獣医さんに診察してもらうことにしました。ちびっ子は何の問題もなく健康優良児というお墨付きを頂いた。生後おおよそ2ヶ月で雄であることが分かりました。ワクチンは6月の初め頃にお願いすることにした。
 そういえば獣医さんに「お名前は?」と聞かれた。わたしの名前を言ったら、「はい。この子のお名前は?」と再度聞き直された。まだ名前を付けていない…… 次回のワクチン接種までに決めるか。

 3週間が過ぎ、そろそろ名付けしなければといろいろ考えた。名を決めた。とりあえず、WEBネームはキーノ。実名は和風な感じにした。
 実家に連れていって母親に名を聞かれた。「○○にした」といったら、「変な名前にされてかわいそうねー」と撫ぜながら不憫そうにキーノ(WEBネーム)に話しかけておった。名前なんて符丁なんだからどうでもよいだろうと思いつつ失敗したかなと。改名はしないけど。
 実名を書かないのは、ブログを書いていることを身内とかに知られたくないからです。ひっそりこっそり適当にやりたいからね。






 それと、この猫のことをメインのネタにすることは基本的に今回だけにしようと思っている。猫ブログになりかねないので。それから、自己紹介の絵の頭の上の猫ですが、この絵を描いた時には猫を飼うつもりは微塵もなかったです。潜在的には猫を飼いたいと思っていたのかもしれん。


飼い猫の大脱走